研究概要 |
本研究は、注意欠陥多動性障害患児において薬物が脳機能に与える影響を侵襲性の低い近赤外線酸素モニター(NIRS)による生理学的指標を用いて評価することにより、病態を反映した客観的の高い薬物療法の効果判定方法を開発することを目指している。 近年広汎性発達障害を持つ児童に高い割合で注意欠陥多動性障害の診断基準を満たす不注意、多動・衝動性症状が合併することが知られるようになっている。現行のDSM-IV-TRの診断基準では、広汎性発達障害の診断が注意欠陥多動性障害の診断に優先することが定められており、合併は原則として認められていないが、実際には合併と考えられる症例も多く、また広汎性発達障害児者に対するメチルフェニデートの臨床的有用性を示す研究も増加している。現在改訂作業が進んでいるDSM-5においては、自閉症スペクトラム障害と注意欠陥多動性障害の併存が認められる方向である。 これを受けて今年度は、自閉症スペクトラム障害に対するメチルフェニデートの有用性、病態生理学的な変化についての先行研究について文献的考察を行うとともに、自閉症スペクトラム障害群に対する予備実験を開始した。またそれに伴い、認知課題の内容を再検討し、cognitive shifting task, Simon task等の有用性などにつき、検討を行った。 注意欠陥多動性障害のみの診断を受けている群については、引き続きサンプリングを継続している。
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