前頭前皮質と視床背内側核ニューロンの社会的接触中における働きと、それらのニューロン活動に対するフェンサイクリジン全身投与の影響を記録した。ラットの社会的行動中に、前頭前皮質ニューロンは32%が興奮し、8%が抑制された。視床背内側核ニューロンは42%が興奮し、抑制されたものはほとんどなかった。PCP全身投与の効果は、前頭前皮質ニューロンは59%、視床背内側核ニューロンは33%が興奮した。これらの結果より、社会的行動に関係する前頭前皮質と視床背内側核ニューロンにPCPが何らかの影響を与えることが示された。 これらの結果はH21年4月の日本生物学的精神医学会と、同年10月の北米神経科学会で発表した。現在はデータ収集も終わり、投稿準備中である。 腹側被蓋野ニューロンの活動を記録する実験は、社会的行動中の神経活動記録に加えて、古典的条件付け課題遂行中の神経活動も記録した。まず第一に、古典的条件付け課題にて条件付け刺激に反応するニューロン活動が、社会的活動中にも活動が増加することが示された。さらに、腹側被蓋野ニューロンの条件付け刺激に対する反応は、PCP全身投与直後には著しく減弱し、3時間後には回復した。これらの結果から、PCPが腹側被蓋野の報酬系ニューロンの機能を変化させることによって陰性症状様の症状を引き起こすことが示唆された。 これらの結果は、H21年9月の日本神経科学大会で発表した。こちらもデータが集まり次第、データを解析し、論文作成に着手する予定である。
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