平成21年度は、IMRを、横浜市立大学附属病院精神科、及び同大学附属市民総合医療センター精神科に通院中の統合失調症患者35名(男性15名、女性20名、平均年齢31.5歳)に実施し31名の対象者が全プログラムを終了した(実施期間は平均8.4カ月)。この31名に関しての研究結果は以下の通りであり、IMRが日本においても有効であることが示唆された。 (1) IMR実施前後の各種評価尺度の変化の検討:設定したリカバリーゴールの内容は、日常生活の充実・就労・対人関係の改善に関する内容が多く、殆どの対象者にリカバリーゴールの達成に向けた進展が認められた。IMR実施前後の各指標の変化を検討するために、全分析対象者について対応のあるt検定を行った。その結果、客観的評価においては、GAF、BPRSで有意な改善を認めた。主観的評価においては、PAM13-MH、SF-36の社会生活機能、LSSの全ての因子、SECLの日常生活と対人関係で、有意な改善を認めた。CSQ-8の終了時の平均点は26.5点だった。 (2) 精神科デイケア利用者におけるIMR実施群と対照群の比較:各尺度について、群(IMR実施群・対照群)と測定時期(実施前・実施後)を要因とする2×2の分散分析を行った。その結果、SF-36の社会生活機能、LSSの社会生活技能、対人交流、心理的機能、合計得点、SECLの対人関係で交互作用が有意であった。これらの指標について単純主効果の検定を行ったところ、群の要因では、SF-36の社会生活技能を除く全ての変数において、実施後水準のみ有意であった。測定時期の要因では、全ての変数においてIMR実施群水準のみ有意であった。これらより既述の指標について、IMR実施前のIMR実施群と対照群との間には差を認めず、IMR実施後には、IMR実施群は各得点が上昇し対照群との間に差を認めたことが示された。
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