研究課題
認知症性高齢者に対する根治的な治療方法であるアミロイドワクチン療法の開発が進行中であり、治療の適応を判断するに当たり、正確な臨床診断が必要となる。しかし、脳機能画像であるアミロイドイメージングによる画像結果の解釈が既に問題となっているが、アルツハイマー型認知症(Alzheimer's disease : AD)に次いで頻度の高い神経変性認知症疾患であるレビー小体型認知症(Dementia with Lewy bodies : DLB)におけるアミロイド蛋白の蓄積についての研究は数少ない。21年度では、アミロイド蛋白について、脳機能画像と対応させるため、前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉、黒質、小脳の各領域において、アミロイド蛋白の半定量評価をそれぞれ行った結果、DLBにおける後頭葉・小脳領域の老人斑、後頭葉領域のアミロイドアンギオパチーが、アルツハイマー病理を反映し、臨床像に影響を与えていることが明らかとなった。第3回の病理診断基準に示されているように、アミロイド病変においてもDLBの臨床症状に影響を与えることが明らかとなり、アミロイドイメージングの結果の解釈の上で臨床的に役立つ知見であると考えられた。また、レビー小体病のスペクトラムで臨床経過を比較した場合、大脳にアミロイド沈着が限局する場合は、錐体外路症状が認知機能障害に先行することが多く、大脳に加えて脳幹・小脳にアミロイドが沈着する場合は認知機能障害で発症することがほとんどであることを明らかにした。アミロイドイメージングの画像結果の解釈のみならず、今後の病態機序の解明に役立つ知見であると考えられた。
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