研究課題
アルツハイマー型認知症(Alzheimer's disease : AD)に対する根治的な治療方法であるアミロイドワクチン療法が実施されている。しかし、脳機能画像であるアミロイドイメージングによって、ADのみならず、2番目に頻度の高い神経変性認知症疾患であるレビー小体型認知症(Dementia with Lewy bodies : DLB)においてもアミロイド蛋白の蓄積が認められることが明らかになっており、その臨床的意義は不明である。また、関連疾患であるパーキンソン病認知症(Parkinson's disease dementia : PDD)とDLBの異同についても明らかとなっていない。平成22年度では、アミロイド蛋白の脳内沈着について、標準化されたBrain-Net Europeの評価方法を用いて、PDD13例、DLB17例の剖検脳を、AD病変である神経原線維変化(NFT Braak stage 0-VI)とアミロイド沈着(Amyloid phase 0-V)とレビー関連病理について半定量を行い、初発症状の相違に注目をして属性・病理学的所見について比較検討した。DLBとPDDの2群間では、脳重量、年齢、性別に有意差がなく、NFT、レビー病理に相違を認めなかった。しかし、Amyloid phaseにおいてのみ、DLBがPDDに比較して有意に高いphaseを示した。また、Amyloid phaseごとの初発症状(認知症あるいはパーキンソン症状)についての頻度を比較したところ、Amyloid phase 0-Iでは、パーキンソン症状の頻度が多かったが、徐々に認知症の頻度が高くなり、Amyloid phase Vでは、すべての症例で認知症が初発症状であった。以上の結果より、DLBとPDDの臨床病型の決定において、アミロイド沈着の関与が示唆され、DLBにおいてアミロイドが治療の対象となる可能性が示唆された。
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