研究課題
パニック障害の治療法には薬物療法と認知行動療法(Cognitive-Behavioral Therapy以下CBT)があるが、本研究の目的はパニック障害患者に併用療法を施行し、その効果および相応しい薬物療法について検討することである。昭和大学病院附属東病院に通院中のパニック障害患者を対象とし、薬物療法を施行中に、集団認知行動療法を併用した併用群と、薬物療法単独群と比較し検討した。当初の予想と異なり、薬物療法単独群については評価項目の多さや回数が多いため、協力が得られにくく期間中に解析可能なデータ収集が十分に出来なかった。また平成24年度の併用群でも診療という形では施行できたものの、対象患者の選択がうまくいかずインシデントが発生してしまい、十分なデータ収集が出来なかった。収集できた情報を用いて、研究当初の目的の一つであった、併用療法の際に効果的な薬物療法について解析しまとめることが出来たので、国内外の二つの学会で以下について発表報告した。諸外国と同様に本邦のパニック障害患者でも、薬物療法とCBTの併用は効果があることが分かった。CBTとSSRI併用は最終的にはパニック症状全般を改善し、加えて早期に破局的認知の再構成を促す可能性があり、併用療法の薬剤として好ましいことがわかった。一方、BDZの使用方法の違いは破局的認知の改善の速さに影響を及ぼすことはなかったが、定期使用より頓服使用の方が最終的にパニック症状全般をより改善するため、頓服使用が望ましいことがわかった。国際学会である2nd The Asian College of Neuropsychopharmacologyにて、JSNP Excellent Presentation Award for AsCNP 20110を授与された。日本神経精神薬理学雑誌Vol 32、No2に掲載予定となっている。時間と労力そして研究に必要な診療技術などが制約となり研究報告が出しにくい背景がある中で、このような結果を報告できたことは大変意義深いものであると考えられる。
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日本神経精神薬理学雑誌
巻: 32 ページ: 105-107