精神科外来に通院している休職者の方に施行した質問紙では、F2圏とF3圏の合計73名(男性55名、女性18名)の回答を得ることが出来、そのうち1年後に追跡できたのは64名であった。64名のうち、職場に復帰できたのは、31名(48%)、休職が続いている者が29名(45%)、退職した者が5名(7.8%)であり、復職率は48%であった。復職出来た者の復職までに要した期間は、159.6±106.1日(mean±SD)であった。そして復職できるかどうかに影響を与える因子は、休職時の抑うつや不安ではなく、職場外での心理負荷と人格傾向の同調性であった。女性では、家庭と職場の二重役割double-burdenがあるため、完全主義傾向の強い女性は職場外での心理負荷が大きいと、復職するのはさらに難しいものとなると考えられた。 またIT技術者のメンタルヘルスに関しては、コンピューターが社会に浸透した現代ではその特殊性はもはや見出すことはできなかった。この結果は対照が都内のホワイトカラーであったため、ともに労働条件が過酷だったことも影響していると考えられた。 大学病院の精神科と一般クリニックの患者の質の違いを検討した結果、抑うつや不安などの重症度などでは大きな差は認められなかった。もちろん休職を繰り返している患者が大学病院に集積している傾向はうかがえたが、大学病院の精神科外来のクリニック化の傾向は否めず、本来の大学病院の機能を考えると、患者の質の配分を医療制度上見直す必要性があることを述べた。
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