外来の初診患者でDSM-IV-TRのうつ病性障害、適応障害および不安障害を満たす症例で、初診前の1ヶ月間に抗うつ薬を投与されていなかった症例に対し、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor: SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(serotonin noradorenarine reuptake inhibitor: SNRI)および新規抗うつ薬であるノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(Noradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressant: NaSSA)を含む抗うつ薬の投与を行った。基本的にparoxetineは10mg/日、fluvoxamineは50mg/日、sertralineは25mg/日、milnacipranは25mg/日、mirtazapineは15mg/日を開始用量とした。また前方視的に抗うつ薬の投与後の1ヶ月以内のactivation syndrome(AS)の症状(不安、焦燥、パニック発作、不眠、苛々感、敵意、衝動性、アカシジア、軽躁、躁)の発現の有無をチェックシートを用いて確認した。また発現例から静脈血採血を行った。近年抗うつ薬の服用後に自殺および他害の危険性が高まる可能性が指摘されており、このことに関連してASが注目されている。そのためASの発現と遺伝子多型の関連性に関する研究は意義があると考えられる。
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