本研究では、身体疾患を有する高齢者が抱える不眠、過眠、睡眠時呼吸障害などの睡眠問題と催眠・鎮静系薬物の服用頻度の実態調査を行い、医療現場で選択されている睡眠医療のRisk-benefit balanceについて明らかにすることを目的とし、調査にあたっては、質問紙による主観的睡眠評価に加えて、携帯型活動ロガーによる客観的睡眠評価及び調査員が24時間観察を行う1分間タイムスタディ法による高精度の睡眠障害診断を実施する。健常高齢者及び身体疾患患者の睡眠状態を客観的に効率よくスクリーニングすることを可能にするために廉価型の携帯型活動量ロガーを採用し、平成21年度では、その活動量データから睡眠(S)/覚醒(W)を判断するための判定アルゴリズムを作成した。z=0.635x_1+0.427x_2+0.701x_3+0.805x_4+0.718x_5 Z>1の場合W、Z≦1の場合Sと判定する。健常成人31名で携帯型活動ロガーとポリソムノグラフを同時測定し、合致率が86.9%と、既存のアクチグラフィーと同等の信頼性でS/Wの判定が可能であることを示し、論文発表を行った。また、高齢者や睡眠障害患者での妥当性も検討し、学会発表を行った。現在、全国の急性期病棟へ入院中の身体疾患を持つ患者において質問紙による主観的睡眠の問題と携帯型活動量ロガーを用いての客観的睡眠評価の調査を行っている途中である。
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