過眠を主症状とするナルコレプシー、特発性過眠症に対してFA/ADC画像、および灰白質画像・白質画像を作成し、SPM8によって解析した。その結果、ナルコレプシーでは覚醒維持に関わる神経核が存在する中脳橋部の白質体積の減少と両側扁桃・左内側前頭回のADC値の上昇が認められた。睡眠効率と右辺縁系を中心とした広範の脳部位のADC値・FA値に負の相関を認めたが、これは神経線維障害が強いほど睡眠維持が悪くなることが示唆された。また、右中心前回・下前頭回、右楔前部、左小脳扁桃が情動脱力発作に関連していた。なお、特発性過眠症では、後頭皮質・前頭皮質・側頭皮質の大脳皮質側のFA値の異常を認め、過眠症状発現のメカニズムがナルコレプシーとは違うことが示された。
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