本研究は、北海道大学病院において動体追跡装置を用いて測定された臓器の動きに関するデータを収集して一元化し、系統等的な臓器の動きを把握する基盤(データベース)の作成を行い、体内での臓器の動きのメカニズムの把握、研究および、実際の放射線治療における臓器の動きを考慮して導入されるマージンに対して定量的な根拠からの評価を行い、臨床へのフィードバックを行うことを目的としたものである。 本研究においては、1)動体追跡放射治療装置(Real-time tumor tracking radio therapy(RTRT))により得られたデータのモデリングとシステムの構築2)RTRTデータの入手、3)データの入力4)データの公開、5)データの解析の5つの過程を考え、平成22年度においては、21年度に引き続き、1)システムの構築と、2)データの入手、3)データの収集を継続した。また、データベースのシステムの再検討を行った。 1)データベースの構築作業においては、21年度までに作成したウェブベースのシステムに、検索された患者データに対し、インタフェースとして提供できる機能を検討し、マーカの位置の位置情報の表示、マーカー分布、ヒストグラム形式、マーカの動きのアニメーション機能など、数値時系列で与えられるデータの理解を助ける機能を実装し、ここまでの成果を、第23回日本放射線腫瘍学会(千葉)にて発表した。 収集したデータの解析を行い、部位ごとに動きの分布に違いがでることが明らかになった。また、他の研究者の臓器の動きの解析において用いられるなど、システムの有効性が示された。
|