研究課題
申請者はこれまでに、PET (Positron Emission Tomography)用低酸素イメージング薬剤^<64>Cu-ATSMが集積する腫瘍内低酸素領域に、がん幹細胞が多く存在することを明らかにしている。一方、^<64>Cuは細胞に障害を与えるβ-線を放出する核種であるため、^<64>Cu-ATSMは内用放射線治療への応用が可能であると考えられている。そこで本研究では、^<64>Cu-ATSMを用いたがん幹細胞局在領域を標的としたがん治療の可能性に関して基礎検討を行うことを目的として実験を行った。まず、本年度は、(1) 培養がん細胞を用いたがん幹細胞に対する^<64>Cu-ATSMの殺細胞効果、(2) 動物腫瘍モデルにおける腫瘍内がん幹細胞に対する^<64>Cu-ATSMの殺細胞効果、(3) ^<64>Cu-ATSMの細胞集積メカニズム、の各項目につき基礎的な検討を行った。その結果、^<64>Cu-ATSM治療はin vitro、in vivoにおいて、がん幹細胞に対し殺細胞効果を示すことが明らかとなった。また、in vitroの検討から、^<64>Cu-ATSMによる殺細胞効果は、通常のがん細胞とがん幹細胞で違いがないことが示された。さらに、^<64>Cu-ATSMの集積メカニズムについて検討した結果、^<64>Cu-ATSMは物理的低酸素に反応して集積するのではなく、がん細胞の還元酵素上昇により集積が促されることが明らかとなった。次年度は、各項目につきさらに詳細なデータを収集することを計画している。
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Nuclear Medicine and Biology (In press)
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http://www1.fukui-med.ac.jp/birc/index02.html