研究課題
申請者はこれまでに、マウス大腸癌Colon-26腫瘍モデルにおいて、PET (Positron Emission Tomography)用低酸素イメージング薬剤^<64>Cu-ATSMが集積する腫瘍内低酸素領域に、がん幹細胞が多く存在することを明らかにしている。一方、^<64>Cuは細胞に障害を与えるβ^-線を放出する核種であるため、^<64>Cu-ATSMは腫瘍内がん幹細胞局在低酸素領域を標的とした内用放射線治療への応用が可能であると考えられた。そこで本研究では、Colon-26腫瘍モデルを用いて、^<64>Cu-ATSMを用いたがん幹細胞局在領域を標的としたがん治療の可能性に関してin vivo、in vitro、両側面から詳細に検討を行った。その結果、in vivo実験の結果から、担がんマウスへの^<64>Cu-ATSM治療量投与により、腫瘍体積が減少すること・がん幹細胞比率が低下すること・転移能が抑制されることが明らかとなった。また、in vitro実験の結果から、^<64>Cu-ATSM治療は、がん幹細胞に対し殺細胞効果を示すことが明らかとなった。^<64>Cu-ATSMによる殺細胞効果は、通常のがん細胞とがん幹細胞で違いがないことが示された。さらに、^<64>Cu-ATSMの集積メカニズムについて検討した結果、^<64>Cu-ATSMは物理的低酸素に反応して集積するのではなく、がん細胞の還元酵素上昇により集積が促されることが明らかとなった。以上のことから、^<64>Cu-ATSMは腫瘍内がん幹細胞局在低酸素領域を標的とした内用放射線治療に応用できる可能性が示された。
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JSMI Reportトッピクス
巻: (In press)
Nuclear Medicine and Biology
巻: 35 ページ: 395-404
Nuclear Medicine Communications
巻: 31 ページ: 380-388
http://www1.fukui-med.ac.jp/birc/index02.html