研究概要 |
はじめに 最近女性の晩婚化傾向が強くなり、妊孕性を残したままの子宮筋腫の治療(子宮温存療法)を希望する患者が急増してきている。_最も頻繁に実施される子宮温存療法は、GnRHa療法であるが、治療効果は報告により0-50%程度と様々である。治療前に生体機能検査であるPET検査を用いて、GnRHa療法に著効するgroupを予測することが可能か否かを検討した。 方法 GnRH-a治療前に患者の同意を得て、超音波所見、MRIFES(エストロゲン受容体)-PET,FDG-PET施行。典型的な子宮筋腫に対してリュープリン1.88,3.75を四週ごと少なくとも3回以上投与。投与終了後超音波あるいはMRIを用いて効果判定を実施した。直径が2センチ以上減少した子宮筋腫を著効例とした。FES集積能、FDG集積能さらにはFDG/FES ratioがGnRHaの著効例を予測することが可能か否かを検討した。 結果 13例の子宮筋腫を有する患者にPET検査施行後、リュープリンを投与。1.88 3人、3.75 10人。投与回数3回5人、投与回数4回3人、投与回数6回5人。MRIで治療効果判定可能6人,超音波検査でのみ治療効果判定可能7人。子宮筋腫の最大径を測定して直径が2センチ以上明らかに減少した症例は3例。治療前のFES-PET, FDG-PETでのmean SUV値からFES集積能、FDG集積能さらにはFDG/FES ratioを算定し、ROC曲線で適切なcut off値を算定した。FES-PETでのROC曲線のAUC値は0.778 95%CI(0.455-1.101) cut off value 2, sensitivity 100% specificity 43‰ FDG-PETでのROC曲線のAUC値は0.741 95%CI(0.310-1.172) cut off value 1.2, sensitivity 100% specificity 22‰ FDG/FES ratioでのROC曲線のAUC値は0.482 95%CI(-0.965) cut off value 0.25, sensitivity 67% specificity 11%。であった。 結論 統計学的有意差はないが、FES-PETでのFESの集積能が子宮筋腫に対して、最もGnRHa療法の治療効果判定を予測するのに有用であると思われた。
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