FES(エストロゲン受容体イメージング製剤)-PET検査は以前よりエストロゲン受容体陽性乳癌の診断や治療効果判定に臨床応用されており、私たちはエストロゲンが関与する子宮体癌や子宮筋腫への応用を検討している。 子宮筋腫の手術前に行うGnRHagonist療法の効果を、正常子宮平滑筋細胞より筋腫平滑筋細胞でエストロゲンレセプターの発現が高いということを利用して、FES-PET検査で予測できるかどうかを検討している。 研究対象は、子宮全摘術あるいは子宮筋腫核出術を施行する前の子宮筋層内筋腫の症例。典型的な子宮筋腫と診断した患者にGnRHaを3か月以上投与した後、超音波あるいはMRIを用いて、子宮筋腫の縮小の程度を判定。FESの集積能をSUV値で表し解析した。38歳から53歳で、治療前の子宮筋腫の大きさは、4.5cm~8.2cmまでであった。効果を認めた割合は43%で、効果のあった症例と効果のなかった症例を分析したところ、両群に差を認めたが、有意差はなかった。 また、効果のなかった症例の中には、SUV値が2未満であり、これを基準としてGnRHagonistが期待できない群を選出できる可能性がある。まだ症例は少ないため、有意差は出ていないが、現在のところ、FES-PETの集積が高いほどGnRHagonist 療法の効果が期待でき、また集積が低い症例では、手術前のGnRHagonist療法を省略することが適切かもしれない。
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