研究概要 |
本年度は,研究に必要なデータベースの構築を行った.本研究を成功させるためには,より多くの種類の異なる所見をもった症例を得ることが重要である.しかし,大きな画像データベースを構築するのは非常に大変で,これまでの研究では,南フロリダ大学が公開しているマンモグラフィデータベースを使用してきた.しかし,このデータベースは画像が古く,詳しい病理診断結果や超音波画像等が含まれていない.また,ほとんどの症例が欧米人の画像であるため日本人の乳腺とは乳腺濃度等が異なる.そこで,日本人の症例を対象とした新しいディジタルの画像データベースを構築することが必要である.まず倫理研究審査委員会の認証を受け,既に病理診断の確定している乳房病変(腫瘤,微小石灰化,構築の乱れ等)の所見がある患者を特定した.現在のところ,悪性症例241症例,良性症例51症例を特定し,それらの画像の取得を開始した.画像はDICOM画像で取り出し,コード表を作成したのち研究用の新しい症例番号を付け,個人情報を画像から切り離すためにDICOMのヘッダーを取り除いた,画像のみのファイルとして保存し使用する.これほど多くの病変を含むディジタルマンモグラフィと超音波の揃ったデータベースは非常に稀で,大変貴重なものである.しかし,悪性症例に比べ,良性症例の数が少ないためさらに良性症例を増やす必要がある.それらをどのように取得するか,例えば生検を行っていない症例を含むか等検討する必要がある.今後,データベースを整理し対象病変の位置等を確認したのち,研究計画に沿って読影医から類似度のデータを得る予定である.
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