研究概要 |
本年度は,研究に必要な画像データベースの構築を引き続き行った.本研究では,診断に有用となる過去の類似症例を検索するために,大規模検索データベースの構築が重要である.これまでの研究と異なり,病理診断結果等を含んだディジタルマンモグラフィを用いる点が本研究の新しい点の一つである.昨年度特定した,研究に使用可能と思われる症例リストをもとに,290症例・1364枚のマンモグラフィを取得し,個人情報等を取り除き,研究用データベースを作成した.それらより,研究に適した腫瘤の位置を2人の放射線科医に特定していただいた.その結果,悪性腫瘤196箇所,良性腫瘤48箇所を特定し,これらを実験に使用した.コンピュータを用い,腫瘤周辺から画像特徴量を抽出し,腫瘤の良悪性鑑別と病理鑑別を試みた.良悪性鑑別については,約8割程度で正しく鑑別することが可能であった.また,特徴量と病理鑑別結果をもとに,試験的に類似画像の検索を試みた.一部のテスト症例に関しては,類似した組織分類が同じ腫瘤を検索することができたが,詳細な組織分類は容易ではないため,新しい特徴量の検討が必要である。この結果は,11月に北米放射線学会(RSNA)で発表した.大勢の参加者に興味を持っていただき,助言等をいただくことができた.今後は,さらに検索精度を高めるために,腫瘤に関する医師の主観的類似度のデータを取得する予定である.また,現在では症例数が十分でなく,特に良悪性で症例数に偏りがあるため,追加症例を取得する予定である.
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