研究概要 |
本研究では、腫瘍選択的な核医学診断の実現を目指し、最も腫瘍選択的な蛋白の一つと言われているSurvivinを標的とした新規放射性薬剤の開発を目的とした。そこで、Survivinのdimer siteへ高親和性を示す4,6-ジアリールピリジノン誘導体をリード化合物とした分子プローブの開発に着手した。 設計した分子プローブの合成において、6位アリール基の3'位に種々の置換基を有するアミド基を導入する際に、従来までの手法では、ピリジノン骨格を構築後、3'位にアルデヒド基を導入する際に、一酸化炭素を使用する必要があるため、より簡便な合成法を経由して開発を進めた。4位にハロゲン原子を導入した4-ヒドロキシアセトフェノン誘導体を出発物質として、ピリジノン骨格を構築した後、種々の手法にてオルト位へのホルミル化を行ったところ、Vilsmeier-Haack反応及びReimer-Tiemann反応では全く反応は進行しなかったが、Duff反応にて目的の位置へのアルデヒドの導入に成功した。さらに還元的アミノ化、アミド化を経て、目的の新規Survivin標的リガンドの合成を達成した。また、HeLa細胞を用いた免疫蛍光染色により、分裂期におけるSurvivinの紡錘体中心における局所的な発現を確認した。さらに、今回合成した新規Survivinリガンドは蛍光を有しているため、これらリガンドのHeLa細胞を用いた蛍光イメージングの関する予備的な検討を現在行っているところである。 今後は標識前駆体及び^<125>Iあるいは^<18>F標識合成を行い、リコンビナントSurvivin蛋白を用いてiTC200により親和性を評価する。さらに、腫瘍細胞を用いた放射性リガンドの取り込み評価にてin vitro結合特性を評価する。また、in vivo評価は腫瘍モデルマウスを用いたPETあるいはSPECT評価にて行う予定である。
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