研究概要 |
本研究では、腫瘍選択的な核医学診断の実現を目指し、最も腫瘍選択的な蛋白の一つとして知られているサバイビンを標的とした新規放射性薬剤の開発を目的とした。そこで、サバイビンのダイマー形成部位へ高親和性を示す4,6-ジアリールピリジノン誘導体をリード化合物とした分子プローブの開発に着手した。 前年度までに構築した4,6-ジアリールピリジノン誘導体の簡便な合成手法を用いて、種々の4,6-ジアリールピリジノン誘導体の合成を達成した。これらの新規リガンドは、サバイビンが高発現しているHeLa細胞及びMDA-MB-231細胞を用いた蛍光イメージングにより、良好な膜透過性を示し、さらにサバイビン蛋白発現部位と類似した結合挙動を示した。従って、これらの4,6-ジアリールピリジノン誘導体がサバイビンを認識している可能性が示唆された。そこで、引き続きSPECT用腫瘍イメージング剤として応用を狙い、^<125>I標識リガンドの開発を行った。トリメチルスズ体を^<125>I標識前駆体として新たに合成し、[^<125>I]標識ヨウ化ナトリウム及びクロラミンTを用いた^<125>I標識合成により、目的の^<125>I標識リガンドが高純度、高比放射能にて得られた。次に、正常マウスを用いた生体内分布評価を行ったところ、適度な血中滞留性と正常組織からの速やかな消失が確認された。従って、本研究課題にて開発した新規^<125>I標識リガンドはサバイビンを標的とした腫瘍イメージング剤としての可能性が示されたため、現在、がん細胞を用いた詳細な結合評価及び担癌マウスを用いたin vivo評価を行っているところである。
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