幇メタボリックシンドロームは動脈硬化の原因となり、さらに動脈硬化病変に生じる不安定プラークは、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす。一方、動脈硬化病変が進行しても安定プラークであればこのような病態を生じない。したがって、動脈硬化性疾患の予防のためには、不安定プラークを早期に検出し治療を行うことが重要である。本研究では、分子標的化機能性リポソームを基盤とした、不安定プラークの分子イメージング剤を開発する。平成21年度までに、蛍光標識リポソームを作成し培養マクロファージにて蛍光顕微鏡にて観察を行い、100-200nmのリポソームはマクロファージに取り込まれることを見いだした。この結果を基に平成22年度は、リポソームに表面修飾を施しマクロファージへの標的性を高める検討を行い、さらに、^<111>Inにより放射性標識することで、フォスファチジルセリン(PS)修飾リポソームがマクロファージ特異的に取り込まれることを見いだした。そこで、平成23年度は、まず、マクロファージの泡沫化が本リポソームの集積に影響を及ぼすか確認するため、in vitroにてacLDLによって泡沫化させたマクロファージを用いて取り込みに関する検討を行った。この結果、100nmのPSリポソームにおいては、泡沫化させることで取り込みの減少が認められた。一方、200nmのPSリポソームに関しては有意な差は認められなかった。次に、動脈硬化モデル動物であるapoEノックアウトマウスに^<111>In標識PSリポソームを静脈投与し、2時間後に血管を摘出しオートラジオグラフィを行った。この結果、Oil-Red O染色と一致した放射能の集積を認め、インビボでの不安定プラークへの集積が確認された。さらに、動脈硬化動物であるWHHLウサギを用いてSPECTによるin vivoイメージングを行ったところ、血管を描出することに成功した。
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