研究課題
"移植腫瘍内HIF-1活性の光イメージング技術"の基盤整備を行った。まず実験の精度を向上させるため、小型浸透圧ポンプ(カプセル)を用いて基質(ルシフェリン)投与量を安定化させ、定量性を向上させることに成功した。また、ルシフェラーゼの代わりに蛍光タンパク質を用いて空間分解能を向上させ、ミクロレベルのイメージング技術を確立した。腫瘍内のHIF-1α(HIF-1のαサブユニットでHIF-1活性を制御する因子)や下流遺伝子(VEGFなど)の発現量を、免疫染色法やELISA法にて解析し、イメージング実験の精度を確認した。これら高精度イメージング技術を用いて、放射線照射6時間後に腫瘍内HIF-1活性が著しく低下すること、そしてそれがVHLに依存することを明らかにした。逆に放射線照射24時間後には腫瘍内HIF-1活性が亢進すること、そしてそれがAkt/mTOR系に依存したHIF-1 alphaタンパク質の翻訳亢進によるものであることを明らかにした。当該イメージング実験を活用して、放射線とHIF-1阻害剤の最適な併用プロトコールを見出した。すなわち、放射線照射24時間後のHIF-1活性の亢進をHIF-1阻害剤で抑制することにより、最大の増殖抑制効果を得ることが可能であることを見出した。逆にHIF-1阻害剤を放射線照射に先駆けて投与した場合に、HIF-1阻害剤が放射線治療抵抗性の低酸素がん細胞の量を増大してしまうことで、放射線の治療効果をむしろ減弱化してしまうことを見出した。
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