研究課題
本応募課題では、腫瘍の悪性化、治療抵抗性に関与する低酸素誘導因子(HIF-1)の存在する腫瘍を高感度にイメージングする手法の開発を目的としている。これを達成するため、HIF-1の酸素依存的分解に関与するアミノ酸配列(ODD)をプローブの母体に選択し、膜透過配列(PTD)と1型単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-1 TK)を結合させた融合タンパク質(PTD-ODD-HSV-1 TK:POTK)を構築し、それによってリン酸化されて細胞内に蓄積する基質プローブを利用することで、代謝捕捉の概念に基づくHIF-1活性化低酸素腫瘍の高感度イメージング法の開発を計画した。昨年度の成果として、低酸素環境下で選択的に存在して基質プローブを代謝捕捉する融合タンパク質POTKの構築に成功した。そこで今年度はインビボでの検討を行った。まず、蛍光色素で標識したPOTKを担がんマウスに投与し、その動態を光イメージング装置で経時的に撮像したところ、腫瘍移植反対側の筋肉に比べて腫瘍の蛍光強度は2倍以上高い値を示し、POTKの腫瘍集積性が確認できた。次にPOTKを担がんマウスに投与し、3時間後にそれによって代謝捕捉される[^<125>I]FIAUを投与したところ、腫瘍に集積した放射能は非投与群の3倍以上増加し、腫瘍血液比および腫瘍筋肉比はそれぞれ1.3倍および1.6倍向上した。さらに、POTKを前投与した担がんマウスに[^<123>I]FIAUを投与し、6時間後に平面画像を収集したところ、腫瘍が描出された一方移植対側肢への放射能集積は認められなかった。また、腫瘍に集積した放射能は、代謝捕捉の概念を利用していない既存プローブであるPOSを用いた場合よりも高く、POTKと[^<123>I]FIAUを用いることでHIF-1活性化低酸素腫瘍の高感度イメージングの可能性が示された。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
Mol Imaging Biol
巻: (印刷中)
Eur J Nucl Med Mol Imaging
巻: 37 ページ: 1566-74
http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/byotai/