研究概要 |
本年度は肺癌体幹部定位放射線治療における線量効果関係を検討するために、89症例の計画標的体積(PTV)のD95、最低線量および平均線量と局所制御の状態の関係を調べた。この際、線量計算アルゴリズムが線量効果関係に影響を与えるか否かも検討した。従来のアルゴリズム(Batho Power law法)を用いた場合、局所制御例におけるPTVのD95,最低線量および平均線量は、それぞれ45.5, 42.6, 47.5Gy、局所再発例においてそれらの数値は、45.2, 42.4, 47.5Gyであった。局所制御例と再発例の間に有意な差は見られなかった。新世代のアルゴリズム(anisotropic analytical algorithm)を用いても、局所制御例で42.1, 38.7, 45.5Gy、再発例で42.1, 38.6, 45.7Gyとなり、こちらでも有意差は見られなかった。明らかな線量効果関係を見いだされず、その他の臨床因子を考慮することが重要と考えられた。なお、本研究を通じて、新世代の線量計算アルゴリズムを用いた場合の平均的な線量指標を明らかにすることはできた。 プロトコル策定に関しては、中枢型肺癌定位放射線治療の第I相臨床試験(JROSG 10-1)が実施されることとなったため、このプロトコル作成に協力した。2010年11月から当院の登録が開始され、1症例の登録を行った。今後も本プロトコルへの協力を行っていく予定である。
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