研究課題
H22年度は前年度に引き続いて、肝細胞特異性造影剤であるGd-EOB-DTPAの肝細胞内への取り込みに関与するトランスポーターの同定に関する検討を行った。アフリカツメガエルの卵母細胞に対してマイクロインジェクション法によりヒトのトランスポーター膜タンパク質の遺伝子を導入し、その細胞表面にヒトのトランスポーター膜タンパク質を発現させた。今回の実験においては、ヒトの肝細胞に特異的に発現しており、胆汁輸送に関与しているトランスポーターのひとつであるOATP2(OATP-C)について検討を行った。これはGd-EOB-DTPAが肝細胞に特異的取り込まれ、胆汁中に排泄される特性を有するために、OATPファミリーのトランスポーターが取り込みに関与している可能性が推察されたためである。そのヒト遺伝子導入アフリカツメガエルの卵母細胞をGd-EOB-DTPA溶液中で培養し、細胞内への取り込みの有無について核磁気共鳴画像により、対照群の卵母細胞と比較した。OATP2が膜表面に発現した卵母細胞においては、核磁気共鳴画像において細胞の信号強度の上昇が認められ、Gd-EOB-DTPAの細胞内への取り込みが確認されたのに対し、コントロールの卵母細胞では、明らかな取り込みは認められなかった。この結果より、ヒトの肝臓においてGd-EOB-DTPAがOATP2を介して肝細胞内に取り込まれることがわかった。Gd-EOB-DTPAの取り込みに関与するトランスポーターを同定することは、他の医薬でOATP2を介して肝細胞に取り込まれるものとの相互作用を考える上で臨床においても重要である。
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