研究課題
平成23年度は3年間の研究期間の最終年度にあたり総括を主としている。平成22年度までに行われたヒトの膜タンパク質の遺伝子を導入したアフリカツメガエル卵母細胞を用いたGd-EOB-DTPA(Gadoxetate disodium)の取り込みに関与するトランスポーターの解析の結果を総括して本年度、国際学会において発表を行った。最近の内外の研究結果から、Gd-EOB-DTPA造影MRIにおける肝実質の造影効果が肝機能を反映していることがわかってきたが、その要因を考察する上でトランスポーターの役割を考慮することは不可欠であり、本研究のような基礎的研究は重要と思われる。また一方で、Gd-EOB-DTPA造影剤の臨床応用に関する検討として多血性肝細胞癌におけるGd-EOB-DTPA造影MRIと造影CTの診断能の比較を行い、その結果について学術誌に発表した。多血性肝細胞癌の症例のうち、Gd-EOB-DTPA造影MRIと造影CTの両方を行っているものを対象として読影実験を行い、腫瘍結節の検出能について詳細に検討を行った。結果としては、Gd-EOB-DTPA造影MRIにおけるコントラストの優位性によりGd-EOB-DTPA造影MRIの方が造影CTより検出能が優れていた。肝細胞癌においては現在、外科的切除をはじめ選択的肝動脈塞栓術やラジオ波焼灼術などの有効な治療法があり、画像検査により早期に病変を発見できれば十分治療することが可能である。従って、Gd-EOB-DTPA造影MRIなどのより優れた診断方法を選択することは肝細胞癌の症例においては治療成績の向上につながると推察される。
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European Radiology
巻: 22巻 ページ: 845-854