大阪大学および関連病院で前立腺癌に対して行った、4門照射を用いた外部照射70Gy/35回の放射線治療症例362例について、照射野と晩期有害事象との関係を後ろ向きに詳細に検討して論文報告した。全症例についての5年のGrade 2-3有害事象は尿路系6%、腸管系14%であった。直腸出血について、2D-simulationと3D-simulationとで結果を比較すると、各々23%と7%(p<0.001)であった。2Dから3Dへの移行に伴って、照射野サイズが有意に縮小し、晩期直腸出血の頻度も有意に減少した。 前立腺癌に対する高線量率組織内照射単独療法について、リスク分類の観点も交えて、自験例および他施設からの文献につきreviewして論文報告した。当初は単独療法は低リスク群のみを適応とする場合も少なくなかったが、近年は中リスクあるいは高リスク群にも適用されることが多くなってきていること、またその物理学的・生物学的背景にまで言及した。 海外学会発表として、世界小線源治療会議において、前立腺癌に対する大阪大学の高線量率組織内照射単独療法の治療成績をポスター発表した。 また、国際コンピュータ支援外科・放射線学会において、前立腺癌の小線源治療について概説する口演発表を行った。 日本放射線腫瘍学会において、大阪大学における前立腺癌IMRTの初期成績について口演発表し、直腸出血の減少など期待された通りの結果が得られていることを報告した。
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