研究概要 |
本研究は2つの動的システム(Double dynamic system:DDS),MLCよる動的な強度変調ビーム及び腫瘍の呼吸性移動に対応させたモンテカルロシミュレーションを実現し,胸腹部への強度変調放射線治療(IMRT)のための線量計算システムの開発を目的としている. 平成22年度は前年度に開発したモンテカルロ線量計算システムに対し並列計算の実装,性能評価を行った.大阪大学の並列計算機システムを使用し,使用CPU数分の計算時間短縮が図れることを確認した.また水ファントム内の線量計算結果の比較を行い,並列計算を行っても線量分布が変化しないことを確認した.次に,DDSを考慮したモンテカルロ線量計算の線量検証をフィルム法により行った.QUASARプログラマブル呼吸同期プラットフォームを用いて呼吸性移動を付加した水ファントムに対して,逆ピラミッド型の強度変調ビームを照射しフィルム測定を行った.一方,モンテカルロシミュレーションではQUASARにより呼吸性移動を付加した水ファントムに対して4DCTの取得を行った.それを構成する各3DCT画像と対応するセグメントを用いて線量計算を行い,レジストレーション結果に基づき線量の積算を基準画像上で行った.また3DCTに呼吸性移動を付加した場合の線量計算も行った.離散的動きとなる4DCTを用いた場合,連続的動きとなる3DCT+設定呼吸性移動の場合どちらも,3%/3mm基準値を使用したガンマ解析においてパス率90%以上であった. 複雑な測定,計算にも関わらず両者は良い一致を示している.本システムはDDSの状況下においても高い精度でモンテカルロ線量計算が行うことが可能である.
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