研究課題
大動脈解離治療における新たなdeviceとして我々が考案した円筒状バルーンの開発は、東海メディカルプロダクト社と共同で試作品の作成を行った。試作品のバルーンは、筒の形状維持は可能であったが、内腔の保持力および血管壁のsealing効果については、実験応用するには依然問題がある。またこの試作品はバルーンにつながるシャフト部分の径のサイズが大きく、大動脈解離のエントリー閉鎖のために経皮的な治療を行うことについては、現時点では不十分なデバイスと言わざるをえない。豚の大動脈での実験応用は適応困難な状況であり、現在引き続き改良品について検討作成中である。また本研究は大動脈解離に対する治療応用を目指しているため、実験豚動物における大動脈解離モデルの作成についても同時に検討中である。生体での大動脈解離モデルの作成は、今後、円筒状バルーンの有用性を検証する上で必須となる課題である。更に血管内治療手技を用いた低侵襲な大動脈解離モデルの作成は、大動脈解離の実験的研究においても世界的に重要な課題となっており、本モデルの開発が望まれている。現在、Boston Scientific Japan社の動物実験施設(宮崎)にて、TIPS(経皮経頚静脈的肝静脈門脈シャント形成術)で用いる穿刺針および金属外筒を用いた低侵襲な豚大動脈解離モデルの作成について実験検討を行った。現在は金属外筒を鉋(かんな)のように用いて内中膜をはがして解離腔を形成し、血管内治療手技を用いて腔を拡大し、安定した偽腔開存型解離モデルを作成できるように検証中である。
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循環器科 66
ページ: 592-597