研究課題
大動脈解離治療における新たなdeviceとして我々が考案した円筒状バルーンの開発は、東海メディカルプロダクト社と共同で試作品の作成を行った。試作品のバルーンは、筒の形状維持は可能であったが、内腔の保持力および血管壁のsealing効果については不十分で、実験応用するには依然問題がある。またこの試作品はシャフト径が大きく、大動脈解離のエントリー閉鎖のために経皮的な治療を行うことについては、現時点では不十分なデバイスと言わざるをえない。現状では実験応用は適応困難な状況であり、引き続き改良品・代替品について検討中である。また本研究は大動脈解離に対する治療応用を目的としているため、実験豚動物における大動脈解離モデルの作成についても同時に検討した。生体での大動脈解離モデルの作成は、今後、円筒状バルーンの有用性を検証する上で必須となる課題である。更に血管内治療手技を用いた低侵襲な大動脈解離モデルの作成は、大動脈解離に関連する実験的研究においても世界的に重要な課題となっており、本モデルの開発が望まれていた。今回、Boston Scientific Japan社の動物実験施設(宮崎)にて、TIPS(経皮経頚静脈的肝静脈門脈シャント形成術)で用いる穿刺針および金属外筒を用いた低侵襲な豚大動脈解離モデルの作成についての実験を行い、14頭中11頭の豚の胸腹部大動脈で、解離を作成することに成功した。このうち6頭についてはcone beam CTにより、理想的なdouble-barrelの大動脈解離であることが生体で確認できており、病理組織学的な検討でも中膜の外1/3の部位に解離が形成されていることが確認できた。この成果については、2011年9月に予定されている欧州IVR学会(Cardiovascular and Interventional Radiological Society of Europe)にて発表の予定で、現在海外雑誌に投稿すべく、英語論文を作成中である。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件)
J Vasc Interv Radiol
巻: 22 ページ: 302-308
Cardiovasc Intervent Radiol.
巻: 22(in press) ページ: 302-308
巻: (in press)(Epub ahead of print)