研究課題
本研究の目的は、ASLの脳機能画像を用いてアルツハイマー病(以下、AD)の鑑別診断を支援するシステムを開発することである。提案システムを用いることで、診断の見落としや労力の軽減が期待される。また、造影剤を使用することなく診断精度を向上できれば、検査にかかる身体的・経済的な患者負担の軽減が予想される。平成23年度は、下記の改良および手法の評価を実施した。●脳血流低下区域の特徴量解析法の改良平成22年度に開発したASL画像から領域ごとに脳血流量を抽出する手法に関して、T1平均画像と確率アトラスを用いて、最大事後確率推定に基づいた領域抽出法に変更した。改良により、S/Nの低いASL画像と形態情報を有した、T1平均画像を正確にレジストレーションすることが可能となり、高精度に領域ごとの脳血流量を抽出することが可能となった。●レジストレーションアルゴリズムの改良これまで2次元で行っていたレジストレーションを、B-スプラインに基づく3次元free-form deformation (FFD)法に拡張した。その結果、画像のマッチングを評価する指標である相互相関係数は、平均で0.6から0.8に改善された。実施計画に沿って開発・改良した手法を用いてADの自動鑑別を試み、良好な結果を得た。●成果報告平成23年度中に、医用情報画像学会の会誌に原著論文1報を報告した。また、医用画像情報学会、日本放射線技術学会総会および北米放射線学会(RSNA2011)において研究の成果を発表した。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
医用画像情報学会雑誌
巻: Vol.28, No.3 ページ: 72-78