3年目となる当該年度において、MRI-ASL法の臨床応用を中枢神経系疾患に対して施行した。その結果、以下に挙げるいくつかの疾患で有用な結果を得ることができた。 1.もやもや病患者に対しMRI-ASL法を適用し、SPECTとの脳血流値の対比を行ったところ、アセタゾラミド(=脳血管拡張剤)負荷による脳血流値との強い相関性を見出した。この結果について海外学会にて発表後、論文発表をおこなった。 2.もやもや病患者におけるMRI-ASL法の活用法の更なる検討として、通常の撮影方法に加え、脈波同期させたMRI-ASL法を考案し、SPECTとの対比を行った。この結果、前述の如く通常のASLはアセタゾラミド(=脳血管拡張剤)負荷による脳血流値との相関性が再確認されたのに加え、脈波同期MRI-ASL法は安静時脳血流値と比較的良好な相関性があることを見出した。これについて海外学会にて発表した。 3.基礎的研究において、ASL-MRIを用いた脳血流画像取得における加算回数についての臨床的検討し、加算回数を減らしても、画像的に遜色ないことを明らかにした。これを国内学会及び海外学会にて発表した。 4.もやもや病同一患者におけるMRI検査において、1.5Tと3Tの装置の違いにより画像を過大あるいは過小評価する可能性があり、注意が必要であることが判明した。 5.超急性期脳梗塞に対し血栓溶解療法を施行しえた患者において、MRI-ASL法を適応したところ、DWIでの所見とあわせた検討で、その患者の予後がある程度予測されることを見いだした。この結果については更なる検討を行い、今後学会発表を行っていく予定である。
|