本年度は計画通り、ファントムの作成・線量計の校正、ファントム内外の線量の測定・計算値の比較を行った。ファントムは、線量計の校正実験・計算の比較が行いやすいよう、シンプルな円柱形のアクリル製ファントム(18cmφ×20cm)で水を注入できる構造として作成した。ファントム表面と内部には線量計・線源を固定できるようにした。次に、線量測定に用いるガラス線量計及びTLDを校正した。校正は札幌医科大学付属病院第3放射線治療室の電子線加速器でX線照射を用い、校正した。校正では、6MVで10.0MUの照射(電離箱測定で7.7×10-2Gy程度に相当)を行なった。その結果より、測定安定性に優れたガラス線量計(旭テクノグラス製素子GD-302M、及び低エネルギーγ線測定用Snフィルター付き素子(GD-352M用))を第一候補に、研究を進めることとした。 ファントム表面と内部での線量計算精度の高い計算法を整備するため、ガラス線量計をファントム表面と内部に配置し測定した。線源は治療用の^<125>Iシード(Oncra Inc. Oncoseed No. 6711)とした。次にこの体系を模擬したモンテカルロ計算を行った。計算コードとしては、MCNP-4C、PHITS2.16、EGS5を用いた。このうちEGS5を用いた場合に、AAPM TG43U1の枠組みでの^<125>Iシード線量分布の評価精度とされる13%程度で実験と計算が一致した。次年度は本計算手法・実験手法を用いて研究を継続する。
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