研究概要 |
本年度は計画通り、複数の^<125>I線源をファントム内に配置し、ガラス線量計によるファントム外からの測定により、回帰分析で線源強度を評価する手法を検討した。線源としては、強度差が1~50%となる組合せを20個程度準備した。昨年度の測定・計算法の精度検証を続けた結果、ガラス線量計としてSnフィルターなしの旭テクノグラス製素子GD-302Mをファントム表面に24個配置する手法を取っている。校正には6MVリニアック治療X線を用い、吸収線量の媒質変換(ガラス→水)と照射場のエネルギー補正には、質量エネルギー吸収係数比を用いている。計算法としては、線源体系としてWeaver文献(K.Weaver, Medical Physics, 25, 2271-2278 (1998))を、モンテカルロ計算コードEGS5に入力する手法を用いている。 複数の線源を試行したが、現在の所、4%差のある2線源の強度を4%程度の精度で評価するに至っている。また、非侵襲的な評価という方向性には反するが、体内の線源周りにガラス線量計を9個配置すれば、1%程度の精度で評価できた。しかしながら、回帰分析に基づくファントム内線量計算と、精度検証用に配置したガラス線量計測定値は15%程度のばらつきの範囲で一致している。当初想定したよりも大きなずれを含む結果となっているが、ポイントとなっているのは計算手法自体の精度である。本年度に文献調査により判明した事であるが、治療の線量計算に現在用いられている手法(AAPM-TG43U1)が策定される段階で、線源の個体差や整形の不均一により、数十%程度のずれを内包する可能性が示唆されており、また10~15%程度の精度であるとする報告もある。現在の治療線量精度と照らして、本手法は有用なものと考えている。3個以上の複数線源に対しても精度が向上されるよう、研究を継続する予定である。
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