本年度は計画通り、複数のオンコシード6711^<125>I線源をファントム内に配置し、ガラス線量計によるファントム外からの測定により、回帰分析で線源強度を評価する手法を検討した。ガラス線量計としてSnフィルターなしの旭テクノグラス製素子GD-302Mをファントム表面に配置した。計算法としては、線源体系を入力したモンテカルロ計算コードEGS5を用いている。 4線源の強度評価に取り組んだ結果、5%程度差の線源の評価精度は概ね10%程度であるが、一部50%程度に及ぶことがわかった。原因として(1)X線エネルギーが低いためファントム内で減衰し、ガラス線量計実測値が小さく測定が不安定である事、(2)計算方法自体の精度が低い事が考えられる。当初計画した対策として、ファントム表面を生体透過物質で覆う事があったが、これをしても(1)の改善があまり期待できないため、実行しなかった。X線エネルギーがより高い^<192>Irや^<198>Auでは、精度が改善する可能性がある。また、^<125>Iにおいても線源モデルによって計算精度が異なる事が考えられる。そこで、バードソース1251線源に対してファントム内外の線量分布測定をした。現在、模擬計算手法の整備に取り組んでいる。 一方、ガラス線量計による測定の補助として、本計画で使用した物品を利用し、生体へ挿入作業中の線源強度をリアルタイムで評価する手法の整備にも取り組んだ。現状では5~10%程度の精度で評価できる可能性があることを明らかにした。 両方の評価手法について精度向上と実用化を目指し、研究を継続している6また、現状の計算手法を利用し、複数線源間の相互干渉を評価する予定である。精度は向上途上であるが、本計画で提案した体外線量測定による線源強度推定と線量評価が原理的に可能である事を、本研究で示すことができた。
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