研究概要 |
今年度は、非小細胞肺癌の脳のみのoligo-recurrence例に定位放射線治療を施行した臨床成績を検討し、第68回日本癌学会学術総会(2009年10月,横浜)にて発表した。この検討により、脳のみのoligo-recurrenceは非小細胞肺癌の場合には転移部位に定位放射線治療を施行し、高線量を集中させ、grossな腫瘍を局所療法にて治療することで、長期生存が得られることが確認された。また、乳癌骨oligo-recurrenceに対する高線量の放射線治療の意義については、3施設共同研究(北里大学、岡山大学、広島大学)の成果を和文論文にて武本らとともに報告した(臨放54:516-519,2009)。その後、東京大学も参加施設となり、4施設共同研究で現在研究を進めている。このことに関連し、「遠隔転移/再発乳癌への放射線治療:oligometastases/oligo-recurrenceの立場から」と題する和文総説を研究代表者が臨床放射線増刊号(臨放54:1557-1562,2009)に公表した。また、本研究代表者の過去のoligometastasesとoligo-recurrence関連の臨床研究、ならびに国内・国外からのoligometastasesおよびoligo-recurrenceの報告を臓器ごとにレビューするとともに、oligometastasesとoligo-recurrenceの違いについて図もまじえながら解説した英文総説「oligometastases and oligo-recurrence:the new era of cancer therapy. Jpn J Clin Oncol 40:107-111,2010」も公表した。なお、oligo-recurmeceは研究代表者の新部らが2006年に世界で初めて提唱した癌の再発/転移の概念である。来年度につながる研究としては、子宮頸癌腹部傍大動脈リンパ節単独再発の前向き臨床試験の症例集積をつづけた。また、免疫組織化学的な検討も加えはじめ、oligometastasesやoligo-recurrenceに対する放射線治療の意義を事前に予測する方法の確立も目指している。
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