小線源治療はその特質として線源に隣接する組織には処方線量をはるかに大きく上回る線量が投与される。前立腺癌に対するI-125シード線源を用いた密封小線源治療において尿道や直腸近傍に高線量が投与されれば有害事象を生じる可能性は高い。通常、尿道線量は画像データを元に線量計算ソフトで算出した値を用いており、実測にて線量を正確に把握する方法は確立していない。尿道線量をリアルタイムに測定し正確に評価する方法の開発を目的とする。 前立腺ファントムを作成し、Mickアプリケータを用いてシード線源を留置し、その後、CT画像を取得した。撮像した画像は、小線源放射線治療装置(VariSeed^<TM>、ユーロメディテック)で読み込み、線量計算を行った。前立腺ならびに尿道(前立腺の中心部分を尿道と仮想)の線量を算出した。また、線量計をファントム内の中心部分に挿入し、近位・中央・遠位の3点で線量を測定し、尿道の実測線量と定義した。 測定した線量は単位時間当たりの線量値であるので計算線量とは乖離がある。測定した線量から単位時間当たりの照射線量を算出し、I-125の半減期・線源活性曲線から尿道の総線量を積算・算出することが解析には必要である。実測した数値とコンピュータでシミュレーションした数値を比較検討し、測定の妥当性を評価することで正確な尿道線量の把握が可能になり、有害事象の予測に役立つと考えられる。
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