大容積平行平板電離箱線量計の製作を行い、動作評価を種々条件で行った。本研究で製作した大容積平行平板電離箱線量計の入射電極、集電極および保護電極は5mm厚のアクリル板表面にアクアダック(炭素塗料)を塗布した。集電極サイズは150mm×150mmとし、極板間隔はZ軸フラットステージにより10μm間隔、30mmまで可変可能とした。印加電圧は外部直流電源装置より0~±300Vとした。 基礎データ測定は極板間隔と印加電圧関係、指頭型電離箱線量計と平行平板電離箱線量計の深部電離電荷量および照射野内の平均電離電荷量測定について実測、解析を行った。 極板間隔を1mmにした場合、印加電圧200Vまでは収集電荷量は増加し、それ以上の印加電圧では収集電荷量はほぼ一定となった。これにより、極板間隔を1mm以下とした場合の印加電圧は200V以上を使用する必要があることが確認された。極板中心および極板四隅の5点における感度の違いについて測定した。中心に対して四隅での収集電荷量はほぼ等しい値を示したことから、電離体積内での感度は一様であり、平行平板電離箱線量計の設置は極板中心と照射野中心を低い精度で一致させれば平均電離電荷量を測定することができる。製作した平行平板電離箱線量計および0.6cc指頭型電離箱線量計を用いて深部電離電荷量測定を行った。指頭型電離箱線量計で測定された深部量百分率と比較を行うと、各深さにおいて1%以内で一致した。また、各照射野サイズの平均電離電荷量を指頭型電離箱線量計のスキャン法と平行平板電離箱によって測定された領域内平均電離電荷は50mm×50mm以上の照射野では±2%以内で一致した。比較的大きな照射野の場合、大容積平行平板電離箱線量計を用いた場合においても、通常使用する指頭型電離箱線量計と同様の結果を得ることが可能である。
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