研究概要 |
1.研究計画に示された,選択基準を満たす患者対象群において,計画通りのMRI撮像か行われた.ただし,撮像時の画質の劣化がなく,精神状態の評価が問題なく行われた症例は20名分以下であり,残りの期間においてさらなるデータの収集が必要であることが示された. 2.初年度終了の現時点で,上記小人数のデータにおいては,健常群および統合失調症の前駆状態,あるいは発症早期にあると思われる患者において,画像統計解析の手法による有意差は証明できえなかったが,これは対象数が少なかったためであると推測され,残りの研究期間でのさらなる検討,解析が必要であると思われた.また,データが収集しえた患者群においても,経時的変化を追跡することにより新たな知見も得られると思われ,今後積極的にデータ収集を行うべきと考察した.現時点までの研究結果(MRIにおける)および,現時点,今後の問題点に関する考察を,2010年3月の第5回日本統合失調症学会にて発表予定である. 3.また,データベースはより多数の要素よりなる方が信頼性がより高いと思われ,比較対照として用いる健常群のデータを,精神神経科受診者以外から構築可能かどうかその手法および倫理上の問題点を検討した.(現時点でも検討中である.) 4.さらに,厳密には,本研究の対象群には含まれないが,同様に東邦大学医療センター大森病院の精神神経科受診者の慢性群において,本研究のMRIプロトコールにて試験的に撮像したもののうち,比較的特徴的かつ画像の解析結果が症状をよく説明しうる症例が存在したので,英文誌(The Neuroradiology Journal,査読あり)にて報告を行った.
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