研究概要 |
今年度は、非線形位置合わせ手法を線量分布データにも適用し、その結果を評価した。具体的には、DICOM-RT形式の放射線治療データを対象に、非線形位置合わせ手法が適用できるように、DICOM-RTデータから線量分布画像を作成し、非線形の位置合わせを行った後、線量分布情報を再びDICOM-RTデータ形式に再変換する方法を開発した。 【背景・目的】局所再発などのため近接部位に複数回放射線治療を行う場合、放射線障害のリスク低減のため、過去の線量分布となるべく重複しない治療計画を行う必要がある。本研究では、複数回治療した患者の線量分布を3次元的に非線形位置合わせし、時期の異なる線量分布間の正確な位置関係を把握する方法を提案する。 【方法・対象】複数回放射線治療を行った患者の治療計画CT画像を対象に、過去画像を最新画像に非線形位置合わせし変形パラメータを得る。次に、各時期におけるDICOM-RT Plan, Structure Set, Dose, Image情報から照射線量を画素値にもつ線量分布画像を作成し、得られた変形パラメータを用いて、過去の線量分布画像を最新の線量分布画像の座標系に位置合わせする。その結果をDICOM-RT形式に再変換し、DICOM-RTビューワ上で過去の線量分布を最新の治療計画CT画像と重ね合わせて表示した。 【結論】エキスパートによる視認評価より、位置あわせの精度は、3mm以下だった。過去の線量分布の情報を参照しながら、新たな治療計画を行える可能性を示せた。
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