研究概要 |
この研究の目的は頚動脈の不安定プラークが疑われるPET/CT検診者対象に高分解能心臓CTを施行し、頚動脈の不安定プラークへの^<18>F-FDG集積と冠動脈の不安定プラークの関係を検討し、これらとプラーク形成や破綻に関与するサイトカインとの関係について血清マーカーを用いて明らかにする事にある。この研究では初年度で10人の程度のPET/CT検診者で頸動脈にプラークの存在が疑われ、このうち約8人に頸動脈エコーにて頸動脈にプラークが見られた。頸動脈エコーとPET/CTのSUV maxの関係としては8例と少ないので、詳細な統計学的解析は困難であるが、基本的にはSUV maxが高いものは高感度CRP傾向にあるようである。また、研究当初は部分容積効果を補正するためにcorrection SUV maxを算出する予定であったが、Luddらが最近の文献では動脈硬化の集積の程度の評価法としてT/B ratioを推奨しているためT/B ratioによる評価も現在おこなっている途中である。また、採血内容としてはadiponection,PAI-1,高感度CRP,MPO、と新たにADMAやPTX3の採血項目として採用した。これらはLuddらが頸動脈の集積と血清マーカとの関連性を最近一部報告しているためである。心臓CTについては8人中7人で心エコーや心電図で異常がなかったので、施行されていないが、1名は胸部症状があったため、心臓CTは施行しなかったものの心臓カテーテル検査が行われ、狭心症と診断された。このように頸動脈の集積と冠動脈疾患との関連性については少しずつではあるが、明らかにされつつある。今後はさらに症例を増やして、頸動脈集積と冠動脈疾患との関連性について明らかにする所存である。
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