^<131>Iを標識したMIBGによる褐色細胞腫の治療では、その適応判別また治療効果判定に^<123>Iあるいは^<131>Iを標識したMIBGによる単一放射断層撮像法(SPECT)検査が用いられている。精度の高い診断はその治療前後で不可欠であり、その実現には解像度及び定量性に優れるポジトロン断層撮像法(PET)検査の導入が有効である。そこで、本研究ではポジトロン放出核種^<76>Brを標識したMIBG誘導体^<76>Br-MBBGを合成し、PET用診断薬としての有用性を明らかにすることとした。初年度である平成21年度は^<76>Br-BBGを合成し、安定性および褐色細胞腫(PC-12)移植マウスにおける体内分布について検討した。^<76>Br-MBBGは非放射性MIBGを前駆体とするハロゲン交換反応により平均標識率44%で合成できた。安定性試験は血清中で行い、MBBGが血清中で24時間安定に存在することを確認した。褐色細胞腫移植マウスを用いた体内分布実験ではMBBGは腫瘍に高い集積性を示し(投与3時間後:32.0±18.6%dose/g)、その集積は^<125>I-MIBGと高い相関があることを明らかにした。以上の結果から、^<76>Br一MBBGは褐色細胞腫のPETイメージングに有用である可能性が示された。最終年度である平成22年度は褐色細胞腫(PC-12)移植マウスを用いたPETイメージング実験を行い、PET用診断薬としての有用性を明らかにする。また、今後臨床応用を目指す上で重要となる^<76>Br-MBBGの大量製造が可能な新規合成法の開発を行う予定である。
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