^<131>Iを標識したMIBGによる褐色細胞腫の治療では、その適応判別また治療効果判定に^<123>Iあるいは^<131>Iを標識したMIBGによる単一放射断層撮像法(SPECT)検査が用いられている。精度の高い診断はその治療前後で不可欠であり、その実現には解像度及び定量性に優れるポジトロン断層撮像法(PET)検査の導入が有効である。そこで、本研究ではポジトロン放出核種^<76>Brを標識したMIBG誘導体^<76>Br-MBBGを合成し、PET用診断薬としての有用性を明らかにすることとした。最終年度である平成22年度では、褐色細胞腫移植マウスに^<76>Br-MBBG(7MBq)を投与し、PETイメージング実験を行った。その結果、投与3時間後において腫瘍を明瞭に描出する画像を取得した。 さらに同一の個体に集積機序が異なる^<18>F-FDG(10MBq)を投与し、同じくPETイメージング実験を行った。その結果、^<18>F-FDGの集積に個体差が見られた。そこで、PET画像から^<76>Br-MBBGおよび^<18>F-FDGの集積をそれぞれ半定量するとともに、腫瘍を摘出してその分化度を調べた。その結果、分化度が高い腫瘍では^<76>Br-MBBGの集積が高いのに対し18F-FDGの集積が低い傾向が示された。一方で、分化度が低い腫瘍では^<76>Br-MBBGの集積が低いのに対し、18F-FDGの集積が高い傾向があることが明らかとなった。以上のように、^<76>Br-MBBGは褐色細胞腫などの神経内分泌腫瘍のPET用診断薬として有用であることが明らかとなった。
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