糖尿病の予知・予防を目指したβ細胞イメージング薬剤開発を目的にGLP-1受容体のリガンドであるExenatideの標識化研究およびそれを用いたPET研究を行った。Exenatideは39残基のペプチド性薬剤であり、N末端選択的にRI標識したプローブの合成を昨年度は検討し、チオエステル法を用いて^<68>Ga-DOTA-Exenatideの合成に成功した。本年度はそれを用いてPET研究を推進した。^<68>Ga-DOTA-ExenatideでPET撮像した結果、30分で膵臓に高いプローブ集積を確認することができた。しかし時間を経るうちに肝臓、腎臓への集積が高まることが判った。この膵臓近傍器官への高集積は膵臓の集積を定量性高く評価することを困難にさせる。そこでこのプローブによるマウスのPET撮像時間は30分で十分だという事が判った。 また本年度は昨年に我々が見出した、タンパク質の銅結合モチーフ(ATCUN)を用いた新規^<64>Cu標識法でのCu錯体の安定性について評価を行った。ATCUNモチーフのN末端を20種類のアミノ酸で置換した誘導体を合成し、エタノール溶液中での安定性を評価した。その結果、アスパラギン酸をN末端に有する誘導体が比放射能の観点では最も優れており、50MBq/nmolという高い比放射能で標識できることが判った。またアスパラギン酸をN末端にした^<64>Cu-ATCUN-Exenatideを合成し、マウスでPET撮像を行った。その結果、撮像初期から肝臓へ高い集積があり、膵臓の集積を評価することは困難であった。しかし解剖した膵臓には高いプローブ集積を確認することができ、銅結合モチーフ(ATCUN)を用いて簡便に生体高分子へ^<64>Cu標識が可能であることを示すことができた。
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