本年度は、[^<11>C]FTIMDの前臨床研究としてサル脳によるインビトロオートラジオグラフィ及びPET測定を行った。インビトロオートラジオグラフィでは、[^<11>C]FTIMD集積はI_2受容体分布を示し、コールド体及びI_2受容体高親和性リガンドBU224により集積が消失し、I_2受容体への特異的結合を示した。また、[^<11>C]FTIMDを用いたサル脳PET測定では、放射能集積がI_2受容体分布を示し、BU224負荷により集積が減少し、インビボでもI_2受容体への特異的結合を示した。よって、[^<11>C]FTIMDを用いたPET測定は、I_2受容体濃度の変化する中枢神経系疾患の診断薬として期待される。 次に、イミダゾリン受容体は末梢でも広く存在していることが分かっており、特に肝臓や膵臓に存在し、糖尿病や高血圧などのメタボリック症候群について研究が進められている。そのため、I_2受容体PET用分子プローブの末梢でのインビボ評価を行った。[^<11>C]FTIMDについてはマウスPET測定により肝臓や膵臓でもBU224負荷により放射能集積が減少し、I_2受容体への特異的結合を示したが、肝臓及び膵臓では放射性代謝物の影響を受けやすいことが分かり、[^<11>C]FTIMDは末梢では適していなかった。さらに、I_2受容体選択的リガンドを探索し、2つの新しいPET用分子プローブ([^<11>C]metrazoline、[^<11>C]TEIMD)を開発した。[^<11>C]TEIMDは標的臓器への集積が低かったが、[^<11>C]metrazolineは肝臓や膵臓の集積が高く、BU224負荷により放射能集積が減少し、I_2受容体への特異的結合を示し、また、肝臓や膵臓でも放射性代謝物の影響受けにくいことが分かった。[^<11>C]metrazolineは末梢臓器でのI_2受容体濃度の変化する疾患の診断薬としての応用が期待される。
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