虚血肢に対する静脈グラフトを用いたバイパス手術は未だ満足するべき長期開存率ではない。その理由として吻合部での内膜肥厚が考えられている。現在までこの内膜肥厚抑制に対するいろいろな試みがなされてきた。しかし、確実な治療法は確立されていない。最近ではsilorimus(rapamycin)が注目され薬物溶出性ステントに使用されており、冠動脈へステント留置後、再狭窄抑制作用があることが示されている。このsilorimus(rapamycin)はmTOR(mammalian Target Of Rapamycin)を抑制し細胞増殖、遊走の抑制、アポトーシスを促進し内膜肥厚を抑制する。SilorimusはFK506と同様に免疫抑制剤であり、長期経口投与では感染症、腎障害等の副作用が出現する可能性がある。今回、より安全にmTORを抑制する目的でsiRNA mTORを作成し以下の調査を行うこととした。 現在、In vitroの実験として、手術時に採取したヒト大伏在静脈の平滑筋細胞を培養しcell lineを作成した。si RNA mTORを使用する前にまずrapamycinを使用することとした。血小板由来増殖因子(PDGF)刺激を行い、平滑笛細胞の細胞増殖、遊走を促進させラパマイシンで抑制するかどうか検討した。ラパマイシンは細胞増殖、遊走ともに抑制させた。次にsiRNAを導入するにあたってまずコントロールsiRNA(GFP)を導入し、条件の検討をおこなった。このGFP導入条件を利用し、siRNA mTORを使用し、導入した細胞のmTORのタンパク質、RNAの生成の抑制を評価する予定ある。
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