PIK3CA遺伝子変異は細胞の癌化、薬効耐性に関与するとされる。我々は乳癌薬物治療の代表的抗がん剤であるドセタキセル(DTX)とタモキシフェン(TAM)について検討した。DTX単剤による乳癌術前化学療法を施行された57症例のPIK3CA遺伝子変異解析を行い臨床病理因子、DTXの効果との関係を検討したが、DTXの効果とPIK3CA遺伝子変異の有無との間に有意な相関は認められなかった。次に補助療法でタモキシフェン投与のみがなされた132症例の遺伝子変異解析を同様に行ったが、Exon9 PIK3CA変異があると予後良好である傾向が見られたが有意差には至らなかった。今回の検討によりPIK3CA遺伝子変異はDTX、TAMの耐性の原因とはならないことが示唆された。
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