研究概要 |
H22年度から23年度にかけてはマウスSCCVII扁平上皮癌細胞を用いてTumor-derived HSP-peptide complexの抽出を安定して施行できる環境を確立した。Purificationは、Pramod K.Srivastavaの方法(METHODS : A Companion to Methods in Enzymology 12, 165-171 (1997))に従った。また、臨床検体を用いて、gp96の発現状況と食道癌術後の予後の相関関係を統計学的に検討した。その結果、切除標本におけるgp96の陽性率は全体で73%であった。リンパ節転移陽性率はgp96陰性の症例で高い傾向にあった。単変量解析による検討ではgp96陽性症例は陰性症例にくらべて有意に予後良好であった(p=0.049)。多変量解析でも「gp96陰性」は独立した予後規定因子であった(Hazard ratio : 2.6, p=0.04)。リンパ節転移個数はgp96陽性症例に比べて陰性症例において多い傾向にあった。すなわち、gp96は食道癌のバイオマーカーとして有用であると思われた。これらの結果については英文誌にて公表した。 H24年度は最終年度であり、gp96および抗原ペプチドとのFusionを行い、さらに樹状細胞にパルスすることより強力な癌免疫療法の有用性をマウスモデルにて検証する予定である。
|