研究課題
食道癌幹細胞について、免疫組織化学およびフローサイトメトリーを用いた検討から食道扁平上皮癌においてALDH-1がp75NTR陽性細胞に含まれる少数分画で発現していることを確認した。食道癌組織標本を用いp75NTR陽性および陰性症例におけるmiRNAの発現をマイクロアレイを用いて検討したところ、陽性症例において高発現しているものとして幹細胞関連miRNAとして報告されているLet7やmir143とともにmir1247が新規に抽出され、陽性症例において低発現なものとしてmir203やmir634が抽出された。さらに食道癌細胞株を用いてp75NTR高発現株(KYSE790)および低発現株(KYSE50)における上記miRNAの発現変動を確認した。さらにALDH-1陽性症例で強発現しているmiRNAとしてLet7やmir371、mir181に加えて新規にmir943やmir887が抽出された。現在、ベクター導入によってこれらmiRNAの発現を制御した食道癌細胞株を作製し発癌や転移に関わる機能解析を進めている。胃癌幹細胞について、胃癌切除検体から作製した組織アレイを用いて幹細胞マーカー(p75NTR、CD44、ALDH-1、LGR5、CD133)の発現を検討しALDH-1が有用である可能性を示した。ヒト胃癌切除組織および胃癌細胞株MKN45およびNUGC4においてCD44/ALDH-1供発現細胞が存在することを確認しており、現在ヒト胃癌細胞株を用いてCD44/ALDH-1供発現細胞の分離および幹細胞形質の解析を進めている。さらにヒト胃癌細胞株MKN45およびNUGC4をヒト胃癌切除標本から採取した線維芽細胞とともに免疫不全マウス皮下および腹腔内へ移植したところ、胃癌細胞株単独移植群に比べて供移植群でより大きな腫瘍を形成し、免疫組織学的検討ではALDH-1/CD44供発現細胞およびalpha SMA陽性CAFの増加を認めた(未発表)。また間葉系幹細胞マーカー(STRO-1、vimentin、alphaSMA)の発現を検討し癌部でのalphaSMA発現亢進を示した(未発表)。骨髄由来間葉系幹細胞MSCを培養し腫瘍細胞との相互作用について免疫不全マウスへの移植実験によって確認中である。
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Cancer Research
巻: 70(21) ページ: 8435-8445