研究概要 |
本研究の最終的なゴールは、如何に小さな脂肪肝が移植肝として有用か、また術式の工夫によりそれらの成績の向上が可能かどうかを見極め,さらに、還流液の工夫により脂肪肝過小グラフトを蘇らせることである。現在までの臨床例100例以上のドナー肝組織を見直したところ、肝移植ドナーとして使用される程度の脂肪肝であれば、成績に影響を及ぼさず、また、ドナー自身への負担もなかったことが判明した。(平成22年4月:日本外科学会パネルディスカッションにて発表予定) この結果を踏まえて、まず、本年に行うべきことは、移植されたレシピエントの予後に影響を及ぼす程度の脂肪肝の程度・グラフトの小ささを明らかにする必要があり、まず、小動物のラット過小グラフト肝移植モデルを用いて、各種アッセイを試みておいるところである。具体的には、ラット移植モデルの前段階として虚血再還流障害モデルを作成し、Activated protein C (APC)を投与することにより、肝へのダメージを軽減させ、門脈圧の軽減や肝逸脱酵素の低下、さらに組織学的肝障害の軽減を証明することができた。 今後、ラット肝移植モデルを早急に確立し、同様なアッセイを進めていく予定である。また、脂肪肝モデルも平行して準備を行う予定である。
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