研究概要 |
【背景・目的】我々はこれまでにIFNによる肝癌増殖・浸潤抑制効果に関する研究を行い、invasion assayやマウス皮下腫瘍を用いた実験でIFNの抗腫瘍効果に関する知見を得た(平成18年度若手B)。しかしながら肝移植後の再発形式であるmicrometastasis、血中浮遊癌細胞の転移臓器への着床、転移増殖のメカニズムは明らかでない。 【方法】1.肝転移制御性の確立:MH134を脾注したマウスにIFNを投与し、細胞接着・浸潤、増殖といった癌転移の過程を抑制するか、2.肝虚血再灌流モデルの肝転移への影響、IFNによる肝転移抑制効果につき検討する。 【結果】(1)肝転移抑制効果:腫瘍コロニー形成数評価(MTT assay):マウス肝癌細胞MH134を1×10^5個を脾注後24時間後にIFNを皮下注したIFN投与群では対照と比較し有意に肝転移個数を抑制した(19.3個vs.6.0個,p<0.05)。 (2)血管新生抑制:CD34抗体を用いた免疫染色により転移腫瘍内部のmicrovessel density(MVD)を評価した。IFN投与群(1×10^4IU/ml)では転移腫瘍内のMVDが対照と比較し、有意に減少していた(50個vs.31個/5HPF,p<0.05)。 (3)接着因子の検討:非癌部肝組織でのVCAM、ICAMの発現を検討したがIFN投与群、対照群で差は認めなかった。 【今後の予定】肝切除モデルに虚血再灌流を施行するモデルを用いて、肝移植後肝転移に与える影響について研究を行う予定である。
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